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文章屋Y.S.のよしなしごと日記、音楽映画書評など

トリックと著作権

 先日友人と話していたとき、話題が偶然ミステリの話になった。未読であるというので、島田荘司氏の「異邦の騎士」をつよくお勧めしておいた。

 最近、というかもう、数年前からになるが、日本ではミステリが、それも横溝正史ばりの古典的本格ミステリが、小ブームとなっている。
 少年向けには、「探偵少年コナン」や「金田一少年の事件簿」というトリック重視の(なんちゃって)本格ミステリを扱ったコミックが、相当なロングセラーとなっている。

 だが私は、これらのコミックを一度も読んだことがない。テレビで放映されているのをとばしとばし見た程度だ。
 というのも、本格ミステリのトリックというのは、もうだいぶ前に「出尽くした」と言われ、新鮮味のあるトリックを新たに創作するのは至難のわざ。そうであればこそ、綾辻行人氏の出現に驚喜した。あんなに本数を重ねて、面白く新しい話が描けるはずがないと考えたからだ。

 で、友人から聞き捨てならない話を聞いた。相当数、過去のミステリからのトリックのパクリがある。むしろ大半がそうかもしれないということである。
 過去の名作ミステリのトリックを焼き直し、再度自分なりに扱う試みというのは、有名な作家諸氏もやっていることだ。むしろ類型化が可能なほど繰り返し使われたトリックもあり、その中ではこの小説が一番扱いがうまい、とかの評価も生まれる。コナン・ドイルの「まだらの紐」のメイントリックはポーの「モルグ街の殺人」とほとんど同じだ。
 しかし大概の有名ミステリ作家のこれは、許せると思う。むしろまねをする作家は、読者も古典的トリックを知悉していることを前提とし、「ははあ、あのトリックをこうアレンジしたか」と読んでくれることを期待している。さらには過去の独創に対する愛やリスペクトがある。

 コミックの場合、小中学生の読者は過去の名作のトリックを知らないことを前提に、過去のトリックの価値にて作品を売っているところがないだろうか。
 まして、金田一少年の事件簿にあるという、島田荘司氏の「占星術殺人事件」のパクリは、許容範囲を大きく超え、ミステリに対するリスペクトであるどころか、冒涜であると考える。
 現役バリバリの作家の、最大の代表作のメイントリックを無断でほとんどそのまま持ってくるなどというのがありでは、一生懸命トリックや構想を練る作家はやっていられない。さらに読者からも、「占星術殺人事件」を新鮮な立場で楽しむ機会を奪ってしまう。

 これは犯罪であり、創作への冒涜である。このようなことをするコミックの原作者や出版社は、業界の風上にも置けないと言える。

 てなわけでできそこないのなんちゃってミステリを読む気も視聴する気も現在ない。そもそも、過去の名作と言われているもので、まだ読んでないものがけっこうあるはずだしな。

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