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文章屋Y.S.のよしなしごと日記、音楽映画書評など

私の長編ミステリベスト

 長らく書こうと思って書いてなかった記事。Mixiからリンクしようかと。日記じゃ流れますし自己紹介では長くなりすぎますしね。

 ちなみに私は伝統的本格もののファンなので、ジャンルをそれに限らなくても結局それ系になります。
 また、名作と呼ばれるものの中に、読んでないものもまだあります。
 作品の中身については追々触れるとして、今回はタイトルのみあげます。

エラリー・クイーン Yの悲劇
ガストン・ルルー 黄色い部屋の謎
アガサ・クリスティ オリエント急行の殺人
ヴァン・ダイン 僧正殺人事件
ヴァン・ダイン グリーン家殺人事件
コナン・ドイル バスカヴィル家の犬
ディクスン・カー 皇帝のかぎ煙草入れ
パット・マガー 七人のおば
ウイリアム・アイリッシュ 幻の女

坂口安吾 不連続殺人事件
横溝正史 悪魔の手毬歌

 おおむね十作に絞るなら、このくらいかな?
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トリックと著作権

 先日友人と話していたとき、話題が偶然ミステリの話になった。未読であるというので、島田荘司氏の「異邦の騎士」をつよくお勧めしておいた。

 最近、というかもう、数年前からになるが、日本ではミステリが、それも横溝正史ばりの古典的本格ミステリが、小ブームとなっている。
 少年向けには、「探偵少年コナン」や「金田一少年の事件簿」というトリック重視の(なんちゃって)本格ミステリを扱ったコミックが、相当なロングセラーとなっている。

 だが私は、これらのコミックを一度も読んだことがない。テレビで放映されているのをとばしとばし見た程度だ。
 というのも、本格ミステリのトリックというのは、もうだいぶ前に「出尽くした」と言われ、新鮮味のあるトリックを新たに創作するのは至難のわざ。そうであればこそ、綾辻行人氏の出現に驚喜した。あんなに本数を重ねて、面白く新しい話が描けるはずがないと考えたからだ。

 で、友人から聞き捨てならない話を聞いた。相当数、過去のミステリからのトリックのパクリがある。むしろ大半がそうかもしれないということである。
 過去の名作ミステリのトリックを焼き直し、再度自分なりに扱う試みというのは、有名な作家諸氏もやっていることだ。むしろ類型化が可能なほど繰り返し使われたトリックもあり、その中ではこの小説が一番扱いがうまい、とかの評価も生まれる。コナン・ドイルの「まだらの紐」のメイントリックはポーの「モルグ街の殺人」とほとんど同じだ。
 しかし大概の有名ミステリ作家のこれは、許せると思う。むしろまねをする作家は、読者も古典的トリックを知悉していることを前提とし、「ははあ、あのトリックをこうアレンジしたか」と読んでくれることを期待している。さらには過去の独創に対する愛やリスペクトがある。

 コミックの場合、小中学生の読者は過去の名作のトリックを知らないことを前提に、過去のトリックの価値にて作品を売っているところがないだろうか。
 まして、金田一少年の事件簿にあるという、島田荘司氏の「占星術殺人事件」のパクリは、許容範囲を大きく超え、ミステリに対するリスペクトであるどころか、冒涜であると考える。
 現役バリバリの作家の、最大の代表作のメイントリックを無断でほとんどそのまま持ってくるなどというのがありでは、一生懸命トリックや構想を練る作家はやっていられない。さらに読者からも、「占星術殺人事件」を新鮮な立場で楽しむ機会を奪ってしまう。

 これは犯罪であり、創作への冒涜である。このようなことをするコミックの原作者や出版社は、業界の風上にも置けないと言える。

 てなわけでできそこないのなんちゃってミステリを読む気も視聴する気も現在ない。そもそも、過去の名作と言われているもので、まだ読んでないものがけっこうあるはずだしな。

古畑任三郎FINAL(三夜連続)

 古典的本格ミステリを中心に、とか枕に書いておいて、いきなり「古畑任三郎」からである。
 というのも、私はシリーズスタートからこの作品のファンで、ずっと見てきたし、大半がTV連続ドラマとして制作された関係上、駄作もけっこう混ざっているとは言え、「和製コロンボ」としてけっこう高く評価していることと、今回の三作については、記憶が新しいうちに何か書いておきたかったからである。

 「本格ミステリ」というのはトリックを重視し、結末の意外性で勝負するものである。大半の本格ミステリはまず「意外な犯人」で勝負するもので、他のトリックや意外性がいろいろしくまれていても、やはりこれははずしていないものが多い。「刑事コロンボ」は「倒叙型ミステリ」と呼ばれ、最初から犯人がわかっており、手口やトリックも頭から読者や視聴者にわかっている、というタイプのミステリである。この場合の勝負所は、探偵や刑事と犯人との対決、心理戦や舌戦と、いかにして犯人を追いつめ逮捕なり自白なりに追い込むか、ということになる。ここでのトリックやアイデアが勝負所で、何の証拠もないところに刑事が犯人に罠をしかけたり、意表をつく「ミス」を発見して見せたりするわけである。TVドラマとして一時もてはやされたわけは、一般的な推理小説があまり心理描写などに踏み込めないのに対し、「犯人像」「探偵像」を両者のやりとりや秘密が暴かれる中で描きやすかったからだ。「古畑任三郎」は、その投叙型ミステリのTVドラマとして最大級の成功を収めた「刑事コロンボ」の和製版として作られた。

 シリーズ全般や私のお気に入り作品については、またゆっくり書きたいのでここでは上記FINAL三作についてだけ述べたい。
 結論から言うと、三作ともあくまで私感と好みでAA、というところ(最高はAAA)。
 ただし、三作ともに共通して使われているトリックに新しさは全くない。では、なぜAAなのか。
 そもそも、本格推理小説は、もう三十年も四十年も前に、「主要なトリックは出尽くした」と言われていた。あとは「小さくて新しいトリック」や「これまでのトリックのアレンジ」といったものが、ずっと書かれてきたし、一時期は「本格推理」自体がほとんど書かれなくなっていた。後述する「新本格」が台頭するまで、日本には「本格推理作家」は一人、横溝正史だけだった(その横溝正史ですら、本格の「全く新しい大トリック」は、狭く解釈すると一つも創造していない)。あとは一本二本、本格の秀作を書いている作家はいるが、それでは「本格推理作家」の看板はあげられないだろう。今も活躍する新本格の作家何人かと、そのちょっと前から活躍している島田壮司は、「新しい大トリック」を開発しているし、「本格」と呼べる作品を何本も書いている。彼らは間違いなく本格推理作家である。
 三谷幸喜はもともと本格どころか推理作家でもない脚本家であって、最初からトリックで勝負していない。にも関わらずシリーズのいくつかには「ほお」と感心させられるようなトリックや鮮やかなどんでん返しがあり、田村正和の役作りの素晴らしさとあいまって、非常に素晴らしいシリーズ作品となっている。

 今回も、トリックはいわば過去にそれを作り出した人へのリスペクトを込めて導入し、ドラマ全体としての完成度を高めることに心を砕かれていて、そういう意味では非常に成功していると思うのだ。
 昨今子ども向けも含めて漫画でトリック重視の探偵モノが流行っているようだが、無論新しい大トリックなどみかけないし、ひどいパクリもあるらしくて、推理作家の一部が苦言を述べていたというのをどこかで読んだ。リスペクトとなるかパクリとなるかは、全体の完成度次第だ。

 以下、思い切りネタバレ注意!今回の三作以外にコロンボやクリスティ作品のネタバレも含む!

  第一話は、二段オチになっていて、藤原竜也演ずる若者の「幼稚な残酷さ」と、石坂浩二演ずる「不気味で老獪な極悪人」のそれぞれがよい。「他人の示唆に影響されやすい人間を利用して殺人を犯させる」というのは、露見しても法律上絶対に裁けない完全犯罪である。小学生の頃の担任であって、ずっと若者のことを一見温かく見守っていたかのような老紳士の正体が見えた瞬間ゾッとするわけだ。私は若者が死ぬまでトリックに気づかなかったので、その後「まてよこれは……」と思い始めてからラストまでがエキサイティングだった。この老紳士のような役はやたらな役者にはやれない。石坂浩二はさすがだと思うし、三谷幸喜も絶対中途半端な役者は使いたくなかったところだろう。
 このトリック、というか設定は、たぶんクリスティの「カーテン」が最初だったような気がする。絶対に裁かれない場所で人を操ったり様々な手段で人を殺す男を、ポワロは最後の手段として自ら手を下すのである。

 第二話。とにかくイチローがどうか、が注目点だったが、彼が「出る」と言った以上中途半端なことをするはずがない。なかなか見事な「イチロー対古畑」の対決が見られたと思う。やはりイチローの存在感とかっこよさはすごい。ただ、トリックや物語的にはやや凡庸かもしれない。でも見応えがあったと感じたのは、やはり出演者の力なんだろうなあ。

 第三話。不覚にも涙してしまった。双生児であるという設定を見た時点で、被害者犯人入れ替わりは丸見え。そんなことは三谷幸喜も頭からわかっているはず。それをいかに演出するかが腕の見せ所と言うところだろう。「幼いときから比べられ続けてきた、なれない自分のうつしみへのあこがれと憎しみ」「踊れない二人のダンス」暗いホールでの田村正和と松嶋菜々子の表情。せつなかったなあ。そういえば、古畑の第一話を見て、はじめて中森明菜の気づかなかった魅力に気づかされた気がしたし、今回の松嶋菜々子もそう。三谷幸喜や演出者の力も大きいのだろう。
 トリックは見え透いたとは言ったが、過去のミステリを知らない人が見たらものすごく鮮やかに感じたと思う。扱い方はかなり練られていた。これは第一話も同じ。

 あれだけ本格だトリックだと言われる世界で、その要求に応えてきた「刑事コロンボシリーズ」も、最高傑作と呼ばれるのは(もちろん人により意見は分かれるが)「別れのワイン」だという人も多い。当初は上流階級できざな感じにうつるワイン工場経営者の犯人と、コロンボはともにイタリア系で、二人はやりとりの中で、奇妙な友情を感じるようになっていく。ラストで、犯人にとっていたましい真実を見破って見せたコロンボは、自分で用意したワインを取り出し、犯人と別れの乾杯をかわす。
 犯人「モンテフィアスコーネ。最高のデザートワインですな。それに、別れの宴にもふさわしい。……よく勉強されましたな」
 コロンボ「ありがとう、最高のおほめの言葉です」
 シリーズで最も印象的なラストの一つだと私も思う。

 トリックやどんでん返し、奇抜なアイデアを重視すればこその「本格」の世界で、こうした叙情的な魅力に富むものが間違いなく秀作として残されるのは、何だか奇妙なのだが、個人的には、「こんなのは本格としての観点からは全然ダメだから……」とかいう風には全く思わないんだよな。  

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ネットを中心として活動する文章屋です。最近はiPhoneにはまってます。

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